私たちは、日々たくさんの意思決定を行っています。
無意識で行っているものや、深く考えて決断するもの。
- 家を出るとき、どの服を着ていくのか。
- 友人からのLINEに、なんて返すのか。
- 電車に乗ったとき、どのシートに座るのか。
意思決定の連続が、私たちの人生を作っているといっても過言ではありません。
では、私たちが物事を判断するとき、何を元に決めているのでしょうか?

今日は「意思決定」について、話していくぞい。
なんか、ムズそうやん。


分かりやすいように、日常の出来事から考えてみるぞい。
ツトムくんは、今日の朝ごはんは何を食べたんじゃ?
えーと、今日はですね。
「クロックムッシュ」食いましたね。


ぉぉ。オシャレなもの食べてとるのぉ。
因みに先生の朝ごはんは「ご飯と味噌汁と卵焼き」じゃ。
へぇ~。戦時中みたいやね。


・・・(笑)
Contents
意思決定には2種類がある

「意思決定には、ファスト (システム1) とスロー (システム2) がある」
そう説いたのは、ノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者であり心理学者でもあるダニエル・カーネマンです。
システム1が直観的に物事を判断するのに対して、システム2は熟考する状態を指します。
システム1(ファスト)
- 直観的
- 自動的
- 高速で判断する
- 過去の経験に基づいて決定される
システム2(スロー)
- 論理的
- 遅い判断
- たくさん使うと脳が疲労する

実は、人の意思決定には2つの種類があると言われておる。
それが「ファスト」と「スロー」の2つじゃ。
なんで2つあるんすか?


良い質問じゃ。
私たちの生活は、ここ数千年でものすごい変化しておる。
狩りをして食べ物を得ていた「狩猟時代」では、「目の前の動物をどう仕留めるか」とか「天敵に襲われたときにどうやって逃げるか」なんてことが大事じゃった。じゃないと、命がもたないからのぉ。そんなとき、いちいち深く考える時間などないじゃろ?
だから、直観的に判断する思考が大事じゃった。
この「直観的に物事を判断する」思考が、システム1と呼ばれるファスト思考じゃ。
じゃあスローは、じっくり考えるってことすか?


そう。
ツトムくんも「もっとよく考えて判断すればよかった~。」って思うとき、あるじゃろ?
確かに。
テストのときとか「もうちょっとしっかり問題読めば良かったぁ!!」ってなるときありますわ。


「もうちょっとしっかり読んでおけば」ていうことは、ぱっと見で判断した結果、間違えてしまったってことじゃな。因みに、具体的に思い出せるものはあるかね?
「この中で当てはまらないものをお選びください」ていう問題で、当てはまるものを選んでもーたとか。


まさにそれは「ファスト思考」が陥りがちな欠点じゃよ。
実は、ファスト思考はそのような「思い込み」が生まれやすいのが特徴なんじゃ。
せっかくじゃし、ひとつ問題を出してみるから、チャレンジしてくれ。
とある病院に、交通事故にあった父親とその息子が運ばれてきた。
父親は即死。
息子は重症で病院に運ばれ、緊急手術のために脳外科医が呼ばれた。
しかし脳外科医は運ばれてきた患者を見て
「自分の息子だから、冷静になれない」と言って手術を拒否した。
さて、子供と脳外科医の関係は?

ツトムくん。脳外科医と病院に運ばれた息子は、どういう関係じゃろう?
え、父親が2人いるやん。なんでやねん。。


直観的に考えると、そう思ってしまうじゃろうな。
複雑な家庭で、父親が2人いるってことかいな?


そういう場合も考えられる。
じゃあ、ツトムくんの親は何人じゃ?
2人やで。
オトンとオカン。


じゃあ、脳外科医の「自分の息子だから・・」が、父親じゃないということは?
あ、そっか!オカンや!


それが一番考えられることじゃな。
じゃあ、なんで最初はオカンと思わなかったんじゃ?
何やろ、脳外科医っていうか、医者って男のイメージが。


それが、「認知バイアス」と呼ばれるものなんじゃ。
システム1の欠点
情報の偏りによる認知の歪み。
思い込みの原因。
システム1は、「直観的に、自らの経験をもとに判断する」ことができます。
しかし、それは逆に考えると「自らの経験則の中でしか判断できない」ということです。
自らの経験則で判断すると、偏った思考になってしまう「バイアスにかかりやすい」という欠点があります。

ツトムくんは、これまでの経験から「医者=男の人」って思ってしまったんじゃな。このように、直観には「自分の経験則から瞬時に答えを導き出す」ことができる一方で、間違った答えを導き出しやすいんじゃ。
ファスト思考、アカンやん。
直観を大事にしているオレにとって価値観の転換やわ、これは。


昔と違って、現代社会は「瞬間的に判断した方が良い状況」はそんなにない。じゃが、日々のちっちゃなことでいちいち立ち止まって考えていては、それはそれで疲れてしまう。
スローの方が疲れるん?
ファストの方が早く判断しなきゃいけない分、疲れるんかおもーた。

システム2の欠点
システム2では、「物事を論理的に、深く考え判断する」ことができます。
しかし、それは判断の遅れに繋がったり、特定の問題に注意を注ぐことで他の問題が見えなくなったりすることもあります。
【システム2の欠点】
- 判断が遅れる
- 負荷がかかりすぎると、他の注意を阻害してしまう

ファスト思考の方が、思考する時間が短い分、脳疲労は溜まりづらいんじゃ。
じゃからどっちが良いというんじゃなく、2つの思考があることを理解して、適切に使い分けることが大切なんじゃ。
ムズイこというやん。

2つのモードがある理由
私たちは、毎日たくさんの意思決定をしています。
その中には、早く判断を下した方が良い場合もあれば、じっくりと考えた方が良い場合もあるでしょう。
システム2は、システム1と比べて脳の疲労が激しいため、できるだけシステム1で判断できることが望ましいです。しかし、システム1は自らの経験に基づいて判断されるため、システム2に比べて正確性に欠きます。
脳が発達し、論理的に物事を考えることができる私たちは、時と場合によって思考を使い分けていますが、必ずしも適切に使い分けできていないということを認識しておく必要があります。それぞれの利点と欠点を理解し、今はどちらで判断した方が適切か、を意識することが大切です。
認知バイアス
システム1の大きな問題が認知バイアスの存在です。
認知バイアスには、以下のような種類があります。
- 確証バイアス
- ハロー効果
- プロスペクト理論
- フレーミング効果
- ストーリー効果
- エンドピーク効果
- トンネルビジョン効果 など
認知バイアスのひとつに、「利用可能性ヒューリスティック」というものがあります。
最後に
私たちが意思決定をするときには、必ずしも合理的に判断しているわけではありません。
「冷静に考えるとなんでその選択をしたんだろう?」
と後々になって後悔するなんてこと、多くの人に経験があることだと思います。
世の中のビジネスは、人に備わる心理傾向を理解した上で「どうすれば私たちの商品・サービスに意識を向けてもらえるか」を考えることに多くの時間を使っています。
私たちが日々の生活をより良いものにするためには、自らの判断で良いと思った選択をしていく必要があります。
そのためにも「自ら選択しているように見えて、実は誘導されている」世の中の罠に気づき、より良い意思決定ができる思考を身につけていきましょう。