幸福をコントロールするために必要なたったひとつのこと

心理・脳科学

 

皆さんは、どんなときに幸せを感じますか?

ある実験によると、人間の幸福度は50%が遺伝子によって決まってしまうという結果が出ています。

同じ環境下に置かれたとしても、幸せに感じる人もいれば幸せに感じない人もいる。それは遺伝子による影響が大きいということです。

 

幸福に欠かせないセロトニン

幸せを感じるか感じないかは、心の問題です。
そして、人の情動(心の動き)をコントロールしている神経伝達物質が「セロトニン」です。


セロトニンは、その分泌量によって精神の安定度合いに影響を与えます。簡単に言うと、セロトニンが不足するほど精神は不安定に、セロトニンが分泌されるほど精神は安定し、心にゆとりが生まれます。

人が幸福を感じるためには、セロトニンの分泌量が重要だということです。
そして、セロトニンを語る上で欠かかせないのがセロトニントランスポーター(5HTT)です。

 

5HTTの役割はセロトニンの再利用です。
分泌されたセロトニンの一部は分解され、一部は5HTTによって再利用されます。

そのため、5HTTが少ない人ほどセロトニン不足に陥りやすく、鬱や不安行動をとるといった症状に結び付く傾向があります。そして、この5HTTの量が遺伝によって違いがあるということです。

【セロトニン】

人間の情動(不安・抑うつ)をコントロールする神経伝達物質。

【セロトニントランスポーター】

セロトニンを再取り込みする機構。

2種類のセロトニントランスポーター(5HTT)

5HTTには、L型S型があり、その組み合わせは「LL型、SL型、SS型」の3種類です。
L型は5HTTの割合が多く、S型は5HTTの割合が少なくなります。

人種で大別してみると、以下のような結果になります。

人種別5HTT比較表

 

表からわかるように、日本人は比較的5HTTは少ない傾向にあります。全く同じ環境下に置かれても、アフリカ人やアメリカ人と比べて、精神が不安定になりやすい国民性ということになります。

しかし逆に考えると、私たちは残りの50%に目を向け、幸せになるために懸命な努力ができるとも捉えることができるでしょう。

遺伝によって決まってしまっているものは、どうしようもありません。
大切なのは「先天的な違いがある」ということを知り、「後天的に変えられる部分に目を向ける」ことです。

幸福の50%が遺伝だということは、残りの50%は遺伝以外だということです。

では、幸福の50%は一体何によって決まるのでしょうか?
その50%こそ、私たちが幸福度高く生きていくためヒントになるはずです。

 

行動と結果

私たちの幸せは何によって決まるのでしょうか?

お金でしょうか? 人間関係でしょうか?
それともやりたいことができていることでしょうか?

割合でいうと、人の幸福度は「50%遺伝、40%行動、10%環境」であると言われています。つまり、収入や自分の置かれた境遇以上に、日々の行動があなたの幸福を左右しているということです。

 

行動が幸福を左右する

行動が幸福を左右しているというのは、具体的にどういうことでしょうか? 

例えば、あなたが有名な高級レストランに行ったとします。
レストランで食べた料理の美味しさ、お店の見栄えに対する満足感より、レストランで食事をするという行動そのものが、あなたが幸福を感じる上で重要だということです。

つまり「有名な高級レストランに行く」という行動自体に楽しさや喜びをそれほど感じることができないのなら、あなたが幸福を感じるコストパフォーマンスは低いと言えるでしょう。

日々の行動を見つめ、どんなときに自分が幸福を感じているのか。
まずは、日々の行動の中で幸せを感じたことを3つメモしてみることをオススメします。

以外にも、幸せを感じる行動はシンプルだったりします。

 

結果は重要ではないのか?

このように考えると、結果や境遇は関係がないように思えます。

しかし、決してそうではありません。
結果を単体で見るとそれほど幸福には関係がないということです。

結果と過程の結びつき

例えば、あなたが一生懸命努力をして得た1万円と、人からもらった1万円。
「1万円を手に入れた」という同じ結果でも、幸福度には差が出ます。

一生懸命努力をして何も得られなかったときと、同じ努力をして1万円もらえたとき。
幸福度が高いのはどちらでしょうか?

当たり前に、1万円もらえたときでしょう。
お金をもらうことは結果ですし、人に感謝されることも結果です。
結果があることで、これまでの行動に意味を感じやすくなります。

人は、自分の人生を自分の意志で決めていると感じれることが、幸福に強く関係しています。

 

コントロールアビリティを高める

自分をコントロールする力のことをコントロールアビリティと言います。コントロールアビリティが高い行動をできていると、ストレスを感じにくくなることがわかっています。

つまり、同じ結果を得たとしても、その結果が「自分で決めた行動によってもたらされた結果だ」と思っている場合とそうでない場合で、幸福度は違います。

「自分の意志でもたらされた行動ありきの結果であるかどうか」

結果に重要なのは、その結果を得るまでの過程であることがわかります。

コントロールアビリティ】

自分をコントロールできる力のこと。

幸福度高く生きるために必要なたったひとつのこと

 

私たちが幸福度高く生きていくために大切なのは「自分の意志で行動すること」です。

環境は「自分の意志が反映される環境であるかどうか」が重要。
後天的に変えられる50%の幸福度を向上させるために、意志を持った行動を心がけましょう。

それが、楽しく生きていくための秘訣です。