情報化社会を生き抜く術〜情報を取捨選択する力〜

考え方

人が1日に触れる情報量は、ここ数十年で飛躍的に伸びています。
総務省のデータによると、平成8年~18年の間に情報流通量の数値は530倍にまで膨れ上がっているという結果が出ています。

しかし、私たちの脳はそれら全ての情報を処理できるわけではありません。なぜ全ての情報を処理できないかというと、脳が1秒間に処理できる情報量(bit数)には限界があるからです。

私たちが毎日カルシウムを大量に摂取したとしても身長が5mになることがないように、生物としての身体機能の限界というのは存在します。私たちの日々の生活では、脳が処理できるよりはるかに多くの情報が溢れかえっているため、全ての情報を処理しきれないのです。

では、我々の脳は、目の前の情報を処理するか、しないかをどのように決めているのでしょうか?
もし、我々が意識的に受け取る情報、受け取らない情報を選ぶことができれば、もっと生きやすい世の中になるはずです。

「情報を取捨選択できる力」を身につけるだけで、情報過多の現代を楽しく生きぬくことができるはずです。

 

五感で情報を受け取る

私たちは五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)を使って情報を受け取っています。”五感のどこを使って情報を受け取るか” その割合は人によって様々ですが、人は80%以上の情報を視覚から受け取っていると言われています。つまり、私たちの脳は視覚情報によって作られているといっても過言ではありません。

よって、ここからは「私たちが目にする情報」に絞って書いていきたいと思います。

 

まず、私たちは何もせずとも情報が入ってきます。
情報を「無意識の情報」と「意識の情報」に分けて考えてみましょう。

無意識の情報は人の本能的な部分に関連する事柄や、意識として脳に残っている情報によって作られます。

 

ひとつの例をあげて考えてみます。

あなたは、親に「バターがなくなったから、買ってきて」とおつかいを頼まれました。

「バターを買う」という目的のために、あなたはスーパーを巡回します。意識してバターを探していたあなたは、視覚情報としてバターを情報として処理し、バターの位置情報等を取り入れることになります。

では、もし頼まれたものが「バター」ではなく「ほうれん草」だったら、同じようにバターの情報を取り入れることはできるでしょうか。たとえあなたの視覚の中に「バター」があったとしても、あなたの脳はそれを情報として取り入れないかもしれません。あなたが普段からよく「バター」を買っており、値段などを他スーパーと見比べているのなら話は別ですが、私たちは意識の中にないものは、無意識のうちで情報から除外しているのです。

 

トロクスラー効果

これを裏付ける、ひとつの身体的現象があります。

下記に、ひとつの動画をのせています。
真ん中に印があり、周りを紫色の点に囲まれています。そして、紫色の点が時計回りに点灯しています。

では、真ん中を集中して見続けてください。

見え方に変化が現れます。

どうでしょうか。

紫色の点が消え、別色の一点が回っているように見えませんか?
別に動画が変化したわけではありません。あなたの脳の処理によって、見える情報が変わったのです。

一点を集中的に見ていると、周りにあるものが見えなくなる現象を「トロクスラー効果」と言います。

これは、重要ではないと判断した視覚情報を、脳が遮断することで起きる現象です。

なぜこのような現象が起きるのかというと、脳は全ての情報を処理することができないため、必要でないと判断した情報は処理をしなくなります。狩猟時代が長かった人間は、その時の身体構造からそれほど変化していない場合がほとんどです。仕留める獲物に集中するためには、それ以外の情報を遮断した方が効率が良かったのではないかと考えられています。

そのため、真ん中の点に集中することで、紫色という情報を脳が処理しなくなったということです。

 

何を意識しているか

私たちは、全ての人が物事を同じように見えているかというとそうではないということがわかります。

同じお店に入ったとしても、店員さんの笑顔に目がいく人もいれば、お店の内装に目がいく人もいます。同じ商品を見ていても、形に目がいく人もいれば、材質に目がいく人もいます。

全く同じ世界に生きていながら、私たちの見ている世界は人によって違うということです。

 

情報過多に時代では、どの情報を処理するかが重要になってきます。
そして情報処理をコントロールするためには、視覚情報をコントロールすることが最も効率が良いかと思います。

視覚情報をコントロールすることで、私たちの意識が変化し、取捨選択する情報も変わっていきます。

 

視覚情報を整理する

ここからは、具体的に「視覚情報をどう整理していけば良いか?」ということを書いていきます。

まずは、情報発信の媒体を整理しましょう。

 

テレビ

最も整理すべき情報源は「テレビ」です。

観たい番組がある場合、その番組の時間だけテレビをつけておけば良いですが、ほとんどの人は、前後の時間もとりあえずテレビをつけ、余白の時間をテレビに搾取されているのではないでしょうか。

では、なぜテレビは整理すべき情報源なのか?
ここでポイントとなるのは、「テレビはなぜ、何のために存在するのか?」ということです。

放映権を持っている組織(メディア)も、ひとつの企業です。つまり、収益を上げるために偏った情報が発信されている可能性は十分ありうるということは理解する必要があります。

テレビは「娯楽」です。多くの娯楽をもたらしてくれるテレビを否定するつもりはありませんが、「情報を取捨選択する力」を身につける上では、テレビは不要だと私は考えています。

なぜなら、有益情報があまりにも少なく、コストパフォーマンスが悪いからです。

ここで言う「コスト」は、時間のコストです。
時間は有限であるため、時間を奪うコンテンツは、慎重に選ぶ必要があります。

知らず知らずに、あなたの思考力が奪われているかもしれません。

 

SNS

SNSは、現代社会で私たちの時間を奪う最上級です。もちろん、全てを止める必要はないですし、そんなことをすれば流れの速い現代の情報から取り残されるでしょう。

大切なことは「知らず知らずのうちに時間と思考を奪われていないか」を考えて運用することです。

ツイッター、インスタ、TikTokなどでも、有益情報が流れることはあります。人の集まるプラットフォームには、それなりの情報が集まるからです。

「情報取得」と言う観点で大切なことは2点です。

  • 発信者の質
  • 何の情報を処理したいのか

  

1点目は「発信者」の質です。

SNSは、フォローすることでその人が発信者となります。その発信者の情報を、あなたは受信しているのです。あなたが見ているSNSの時間だけ、あなたはSNSでフォローした人の思考に近づいていると思ってください。そうすると、くだらない事ばかりつぶやく発信者を自然とフォローしたくなくなるはずです。ここで大切なのは、「有益情報とは何か?」を整理することです。

私は、人が意欲的に取り入れる情報は大別して3つだと考えています。

それが「学び」「ユーモア」「癒し」です。

これは、人によって割合は様々でしょう。職業によったり、あなたの目指す理想像によっても変わると思いますが、特にないのなら「学び:ユーモア:癒し=7:2:1」の割合で収集することををオススメします。そして、情報取得をする際は「時間の制約」をして収集してみてください。

 

2点目は「今この時間、何の情報を取得するのか?」を明確にすることです。

それを明確にする事で、他の情報に惑わされずに必要な情報を収集することができます。

SNSは発信者に依存するため、なかなか取得したい情報を選べないデメリットはありますが、逆に思ってもみない情報を得られるメリットもあります。

「学び」「ユーモア」「癒し」がどれくらいの割合で投稿欄に流れてくるのか。

もし不要な情報が多いと感じる方は、思い切ってミュートしてみましょう。あなたの時間は有限です。本当に大切な人はリアルでつながっているはずなので、せめてSNS上は自分のためだけに整理してみることをオススメします。

Google検索

最後に、google検索です。googleは今や誰もが使用する検索システムですが、情報のトップに出るものが必ずしも有益情報というわけではありません。ビジネスをやっている人間は、「どうすればgoogleで検索上位に上がるか?」を日々研究しています。そういった人たちの目的は「有益情報を提供すること」ではなく、テレビ同様「収益を上げること」です。有益情報を検索したい場合、以下の方法をオススメします。

  • 調べたいものの後ろに「pdf」とつける
  • google schalar を使用する

PDFで表示されるものは、研究論文であったり、ある程度データを元に調べられたものが多いです。調べたいものがある場合、後ろにPDFをつけるクセをつけましょう。

もっとしっかり調べたい場合は「google scharlar」にサイトを変更することをオススメします。研究論文の中でも、信ぴょう性の高い情報が多いです。デメリットとして、調べたい事柄が簡単なものの場合、出てこない可能性があることです。TPOでうまく検索方法を使い分けながら、正しい情報を入手しましょう。

何を調べるにも、「事実」と「解釈」は明確に区別することが大切です。

事実はひとつですが、解釈は無数です。

2ch創設のひろゆきさんがよく「それってあなたの感想ですよね?」ということを言っていますが、そこは非常に重要なポイントです。

事実と解釈は明確に切り分けて考えましょう。

良質な情報を得られる仕組みは揃っています。あとは、あなたの使い方次第。

情報を正しく取捨選択し、情報過多の時代を楽しく生きぬきましょう。